人気ブログランキング |

薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉


栃木県と福島県会津地方への探訪を計画するにあたり、那須・矢板周辺に宿泊するのが行程上好都合で、この付近の旅館を調べていたところ、矢板市の郊外にいくつか「鉱泉」と名付けられた宿泊施設や入浴施設があるようで興味を持った。その一つ寺山鉱泉を予約しておいた。
市街地から西に外れ田園の中の一本道を延々と進むと、山に突き当たるようなところに宿はあった。携帯電波も満足に届かないようなところだったが、山峡の奥地というよりは明るい谷間といった立地である。
建物は立派な二階建で、それほど古いものではないようだが温泉自体は寺山観音寺の霊湯として160年の歴史があるという。
2つの浴室は男湯・女湯というわけではなく、客が任意に貸し切りとして利用できるようになっている。お陰で夕食前そして朝と2回貸切り湯を満喫できた。外では鳥のさえずりや渓流の音が聞こえてくる。さらに趣深いのが薪で源泉を沸かしているため、浴室に微かに漂うスモーク臭だ。湯は2つの浴室共通で、浴槽に入ると一部がつながっているのがわかる。鉄分を含むため沸かすと茶褐色となることも効能が一層期待できそうに感じた。
食事も地物にこだわり、また自家栽培の有機野菜等を使い、健康的な献立であった。このあたりは大型旅館には真似ができないだろう。ただし、量的には私もやや物足りなさを覚えたので、若い人は少ないと感じることだろう。
宿滞在中はネット環境からも離れ、ゆったりとした一晩を過ごすことができた。
(2019.04.28宿泊)


薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉_a0385880_15463965.jpg
寺山鉱泉の外観


薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉_a0385880_15464431.jpg



薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉_a0385880_15464824.jpg


薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉_a0385880_15480186.jpg

狭い隠れ家のような浴室


薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉_a0385880_15463627.jpg

地のものにこだわった夕食



薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉_a0385880_15464689.jpg
朝食



薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉_a0385880_15464121.jpg
浴室の外には大量の薪が積まれていた




薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉_a0385880_15465481.jpg

旅館の周囲は春の芽吹きが盛んだった

(2019.04.28宿泊)



by mago_emon3000 | 2020-03-21 15:56 | 関東・信越の郷愁宿 | Comments(0)

文化人も泊った旅荘-東京本郷・鳳明館

東大のある本郷台地一帯は都心といってもよい地区にあって落着いた町並が展開し、さすが文教の地というべき風情が漂っているようだ。
そのような一角に昔ながらの旅館が現役で残っている。鳳明館は登録有形文化財にも指定された本館と台町別館、森川別館という別棟があり、本館の建築は明治38年という。いずれも昔ながらの和式旅館で、都内にあっては貴重な存在である。ちなみに泊ったのは2009年で当時はそれほどでもなかったのだろうが、最近は外国人旅行客の宿泊で賑わっているらしい。
本館と台町別館は同じ敷地にあり、どうやら「別館」の看板のある台町別館の方に泊ったようだ。
ようだというのはこの時は私個人でなく、グループでの宿泊で直接予約をいれたものではなかったからだ。それに今ほど古い旅館へのこだわりもなかったことから、記憶もやや曖昧になっているわけだ。
ビル街の只中に残っているのではなく、閑静な地区にあることで尚更高い価値が感じられる。
(2009.05.30宿泊)


文化人も泊った旅荘-東京本郷・鳳明館_a0385880_21430702.jpg
鳳明館(台町別館)の玄関

文化人も泊った旅荘-東京本郷・鳳明館_a0385880_21430292.jpg


文化人も泊った旅荘-東京本郷・鳳明館_a0385880_21435437.jpg
極力現代的な改築を避けてきたことが随所に感じられる 階段周りの風景


文化人も泊った旅荘-東京本郷・鳳明館_a0385880_21433483.jpg
洗面所も昔ながらのタイル貼り


by mago_emon3000 | 2019-12-11 22:02 | 関東・信越の郷愁宿 | Comments(0)

中山道に面する木造三階-望月・井出野屋旅館

旧中山道のうち、信濃路と呼ばれる区間は江戸方からは険しい碓氷峠越えを果たすと爽やかな高原地帯が続き、浅間山を右に望みながらの行軍であった。そうした行程の途中にあった旧望月宿。町並も往時を感じさせる趣のあるもので、昔ながらの旅館も何棟か残る。その中で木造三階の見応えある外観の「井出野屋旅館」に泊った。
三階建であるから宿場時代からのものではなく大正期の建物というが、一時は遊興街としても賑わったといわれ、この旅館も芸者が置かれていた時期もあったという。
当日は9月の連休時期でもあり他にも何組か宿泊客があり、5・6名ほどのグループもあったようだ。私は詳しくは知らないが、この旅館は映画の舞台として使われたことでも知られているようだ。そのことが客を呼び寄せ、現役の旅館であり続ける源なのかもしれない。
外観からすると一見新しそうにも見えるが、廊下や階段は静かに歩いてもミシミシと軋み音がする。
階段にはお子様が廊下を走ったりすることのないようにと注意書きがあった。このような宿が普通の頃は、廊下の足音や隣の部屋から子供の泣き声などがするのは特に何ともない光景であったのだろうが、やはり今ではそぐわないだろうし、このような宿を慈しんで泊まる客向きなのだろう。
食事も地物が厳選された大変満足感のあるもので、鯉料理(煮物や刺身)鹿刺、川魚の焼物や蕎麦などが盛られ、これで1万円未満で泊まれるのは大変満足感のあるものだった。
こういう宿に泊まっただけに、翌朝の散歩も格別だった。
(2018.09.23宿泊)

中山道に面する木造三階-望月・井出野屋旅館_a0385880_22262428.jpg
井出野屋旅館の外観


中山道に面する木造三階-望月・井出野屋旅館_a0385880_22292743.jpg



中山道に面する木造三階-望月・井出野屋旅館_a0385880_22285958.jpg



中山道に面する木造三階-望月・井出野屋旅館_a0385880_22281468.jpg

廊下や階段は清掃が行き届き 長年の使用で光沢を放っていた

中山道に面する木造三階-望月・井出野屋旅館_a0385880_22265159.jpg



中山道に面する木造三階-望月・井出野屋旅館_a0385880_22584545.jpg







by mago_emon3000 | 2019-11-22 23:22 | 関東・信越の郷愁宿 | Comments(0)

蕎麦が自慢の蔵造り宿-小諸・つたや旅館

まだ信濃路にとっては春浅い時期、探訪の一夜を小諸の北国街道沿いにあるこの蔵造りの宿に求めた。どこで情報を仕入れたかは覚えていないが、直接電話で予約を入れた。まだ信州では桜開花前の時分で、「遅い雪が降ることもあるけどまあ大丈夫でしょう」とご主人と話を交わしたのを覚えている。
この「つたや旅館」は創業300年を数えるといわれ、明治の建築というこの建物は著名な俳人・高浜虚子が戦時中疎開を兼ねて停泊したと云われる部屋も残り、当日は他に一人の常連らしい客があるばかりで、この部屋に泊ることになった。坪庭に面した部屋は街道筋の賑わいなど全く無縁で、壁には虚子の句の掛軸などが掛けられていた。
夕食は見慣れない山菜の数々、地元の鯉料理など品数多く、主人と焼酎を酌み交わしながら仰け反っていると、さらにこの店の名物という蕎麦が出てきた。さすがに全てを食することはできず恐縮してしまったが、記憶が間違いなければビジネスホテル並の安い宿泊料金であったはずだ。
帰り際に奥さんから今年一杯で旅館は止められるということを聞いた。
その後、佐久市内で「めん茶房つたや」という蕎麦屋を新たに開かれているようだ。
また、旧つたや旅館の建物は、「ギャラリーつたや」として、貸し店舗やレンタルスペースとして使われているようだ。
昨年も東信地方を訪ね、店があるという佐久市中込にも足を記したのだが、このつたやのことをうっかり忘れてしまっていていた。遠方ながら再訪なるか。ここに記事を立てることで、備忘録としたい。
(2006.04.08宿泊)
蕎麦が自慢の蔵造り宿-小諸・つたや旅館_a0385880_22323618.jpg
旧北国街道沿いに建つ旧「つたや旅館」
蕎麦が自慢の蔵造り宿-小諸・つたや旅館_a0385880_22325597.jpg

蕎麦が自慢の蔵造り宿-小諸・つたや旅館_a0385880_22330515.jpg
館内は古い姿の保存状態がとてもよく、電話室も残る
蕎麦が自慢の蔵造り宿-小諸・つたや旅館_a0385880_22332028.jpg
泊った部屋には高浜虚子の句が記された掛軸もあった

蕎麦が自慢の蔵造り宿-小諸・つたや旅館_a0385880_22332786.jpg






by mago_emon3000 | 2019-10-29 22:39 | 関東・信越の郷愁宿 | Comments(0)

ビル型宿の傍らでー湯田中温泉・まるか旅館

湯田中温泉は長野電鉄の終点からすぐに温泉街が始まっており、交通至便なところである。しかし、その東側の谷あいに展開する渋温泉郷にやや圧される形で、意外に静かな雰囲気の温泉地となっている。
ただ歩いていると大型のビル型旅館が多いとあって今ひとつ風情には乏しいというのが正直な印象だった。
しかしこの時泊った「まるか旅館」は温泉街の東部、静かに佇む風情ある旅館で、格式と伝統がある老舗というほどではなかったが昭和の温泉旅館という感触で実に落着くことが出来た。
階段の急さ狭さには、年月を重ねた風情が感じられた。

ビル型宿の傍らでー湯田中温泉・まるか旅館_a0385880_23113296.jpg

ビル型宿の傍らでー湯田中温泉・まるか旅館_a0385880_23115898.jpg

ビル型宿の傍らでー湯田中温泉・まるか旅館_a0385880_23120379.jpg

ビル型宿の傍らでー湯田中温泉・まるか旅館_a0385880_23121327.jpg

ビル型宿の傍らでー湯田中温泉・まるか旅館_a0385880_23121722.jpg

浴場は何度撮っても湯気が凄まじく、上手く伝えられないが熱く切れ味があり、外は雪景色の折よく温まった。
3回は入ったが常に独泉状態だった。
(2012.01.02宿泊)


by mago_emon3000 | 2019-09-12 23:13 | 関東・信越の郷愁宿 | Comments(0)

秩父・だいます旅館

秩父市内は町の規模からして宿泊施設が少ないというイメージを受けた。駅前を見渡してもホテル1軒といったところ。池袋から西武線で簡単にアクセスできる所であり、泊る需要が少ないからだろう。
泊ったこの「だいます旅館」は秩父街道から荒川に向って少し坂を下ったところにある。
宿の人は百年になりますね、と仰っていたがそんな老舗には全く見えない外観であり、内装である。宿の歴史の古さは大いに誇ってよいところのはずだがそれを感じさせない。階段や窓を見ると古い旅館であることが伝わってくるが、宿の人はそんなところは隠したいのだろうし、一般の客はそんな部分は求めやしない。
私はそれらを見つけて、密かに風情を感じつつ泊った。
(2018.06.08宿泊)

秩父・だいます旅館_a0385880_22570256.jpg

秩父・だいます旅館_a0385880_22571008.jpg

秩父・だいます旅館_a0385880_22571719.jpg

秩父・だいます旅館_a0385880_22572344.jpg

by mago_emon3000 | 2019-09-08 22:58 | 関東・信越の郷愁宿 | Comments(0)