前泊にも最適な駅前旅館-早岐駅前・日吉屋旅館
佐世保線の早岐駅は大村線との分岐駅であり、かつては長編成の夜行列車をはじめ多くの優等列車が発着し、旅人がここで乗降しまた乗り換えていった。今では佐世保市の郊外にある、構えは大きいが地方の駅といった風情で駅舎も近代的な小ざっぱりとした構えを見せている。
翌朝の行程に合せると、佐世保市周辺に泊るのが便利と考えていたところ、この早岐駅のすぐ近くにあるという「旅館日吉屋」の情報が目に入り、料金も安く前泊に最適ということで迷わず予約した次第。
駅を出るとすぐ左側に「御旅館 日吉屋」の看板の見える伝統的な建物があった。一般家屋でいう妻入りの形を持ち、このような形のいわゆる「駅前旅館」が典型的な形で今に残るのは、かなり珍しいと言えるのではなかろうか。
受付奥の急な階段を昇ると、廊下の両側に客室が並ぶ構造で、6・7部屋ほどありそうだ。御手洗いと浴室は、受付とは反対側のこれまた旧階段を降りた先にあった。客室のある二階が、階段に阻まれて高みになっているような印象だ。風呂は家庭風呂ながら清潔で申し分ない。浴室入口には洗濯機もあり長期滞在客にも不自由はない。
案内された部屋は、予想に反して案外広々としており、立派な床柱のある床の間が目に入った。しかも天袋・地袋、違い棚など意匠が省略されていない。意外にといえば失礼だが駅前旅館としては十二分な部屋である。やはり固定観念、ステレオタイプ的な判断はいけない。今駅前の便利な所にあるビジネスホテルの原形で、観光地ではないため豪華さ、高級さこそないが商用目的の客にとっては貴重な宿泊施設である。
当日、半分以上の部屋には入口の前にスリッパが見られた。これも金曜日の割には案外と思った。到着後に周囲をざっと歩いたところ、1軒ビジネスホテルが見られるだけであった。そのため生きながらえているのだろうか。または安価な宿泊代のためか。いずれにせよ嬉しい事である。早岐駅のアナウンスや列車の発着の気配が聞こえてくるのも駅前旅館ならではのものだ。
一つ残念だったのが、旅館に関する詳しいことが判らず仕舞いだったことだ。翌朝ご主人に色々お伺いしたかったがご不在で、到着した時にお話ししておけばよかったと思った。ビジネス旅館だから支払いも事前精算で、その辺は事務的に対応されているのだろう。今回は宿に泊るのが主目的ではなかったとはいえ、その点が心残りな一泊となった。
(2024.10.25宿泊)
旅館日吉館の外観(駅舎側より及び正面)
玄関回り
階段を昇って案内された部屋
館内移動は急な階段という印象だった
by mago_emon3000 | 2024-11-09 10:55 | 九州の郷愁宿 | Comments(0)