全国でも有数の炭酸泉-山口市柚木慈生温泉
現在は山口市の一部となっている徳地町柚木地区、山間の峠下のような場所に柚木慈生(ゆのきじしょう)温泉がある。国道沿いに1棟温泉施設の建物があるだけで、日帰り中心だが泊ることもできる。この温泉は、以前からネットなどで情報を得ていて、その個性的な泉質を味わってみたいと思っていたところ、近隣を訪ねる機会に寄ってみたいと思いついた。正確には、他の目的と抱き合わせとはいえこの温泉も目的の一つとして訪ねた。
建物は白を基調とした余り秘湯感がないものだったが、玄関を潜ると正面に受付、左手に男湯・女湯の入口が並び、奥に休憩室がある。早速浴室に向うとややぬるめの湯が少しずつかけ流され黄土色っぽい濁りがある。浴槽は4・5名も入ると一杯のやや小さめのものだが、最初は他の客は1名のみだったのでゆっくり浸かっていたところ、当日は連休中ということもあり次々と客が入ってきて盛況となった。ふと手元を見ると、濃厚な泡が一面に付着している。噂通りの濃い炭酸泉だ。
以前炭酸泉で有名なある温泉地の湯に入るも、肌に気泡が付着することなくやや期待外れの感を抱いたことがあったが、水に溶解した炭酸(二酸化炭素)は適温よりややぬるい程度の温度を超えると蒸発し、浴感が普通の湯と変わらないものになる。そのためここではこの温泉口で源泉と湯を加えて浴槽内で初めて混ざり合い、気泡が消えない工夫がなされている。源泉は17℃ほどで、そのままだとぬるいからでもあるが、それだけでなく成分が濃すぎるとのことで、いかに濃厚な湯かがわかる。多くの客は長湯をされるようで、私も30分以上独特の浴感を味わった。浴槽の外には、析出物が結晶化している。
湯上り後主人とすこし話をするうちに、源泉を飲んでみるかといわれ受付奥の蛇口から紙コップに注いでくれた。見ると炭酸飲料のような泡が見られる。少し飲んでみるとしっかり炭酸が利いていて、まさに天然の炭酸水である。味わいは鉄錆味が感じられ、なるほどこれは成分が濃すぎるというのも理解できる。源泉には濁りがなく、水と交わりまた空気に触れることで濁るのだそうだ。
ちなみに宿泊すると温泉が貸切で利用が出来、加える湯の量を加減して好みの濃度で入浴することが出来るそうである。今は一般客でも予約できるが、以前は湯治目的の客のみ宿泊を受けていたとのこと。少し調べると優れた泉質が注目され、温泉遺産にも認定されているようだ。
(2014.10.13訪問)
シンプルな浴場入口
浴室(ネットより)
休憩室
源泉を紙コップに注ぐと、判りにくいが炭酸ガスの泡が沢山付着している
成分表 特に遊離二酸化炭素の量が抜群という
by mago_emon3000 | 2024-11-03 12:53 | 山陽の浴場 | Comments(0)