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地域の賑わいの中心だった創業88年の宿-延岡北川町・旅館本田屋


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旅館全景 左手前は食堂として増設された部分



延岡市から北に国道10号や日豊本線で大分方面に向うと、北川沿いの谷間となり所々に集落が点在する山間風景が展開する。雨の多いところで良質の杉材など林業が盛んで、周囲の山々も緑が深い。

市街から10kmほどで北川町の中心に達する。駅も設けられているが特急列車が通過するばかりでわずかな列車しか停車せず、バスも朝夕の2便のみで車でないとなかなか不便な所である。町並も支流との合流点付近にわずかな家が連なるだけの所だ。


そんな小さな町の一角に本日宿泊する「旅館本田屋」がある。鄙には稀なといっては失礼だが、小柄ながら伝統を感じさせる二階屋で、門構えも立派である。

旅館は昭和10年の創業で88年の歴史を持つ。女将さんに早速二階の部屋を案内いただく。街路に面して八畳間の二間続きが廊下を挟んで二部屋あり、階段を上って右側の部屋で一晩を過すこととなった。当日の宿泊客は私のみであった。この二部屋がメインの客室であり、同時に宴会場でもある。人数によっては廊下にも座布団を置いて大広間になったという。結婚式場としても使われたというこの場所は、いままでどれだけ数限りない賑わい、祝賀の場面となってきたことか

部屋には豪華な書院付きの床の間、柱や天井も聞くのを忘れたが良質の木材が使われていた。林業の盛んだったこの土地のこと、地元の最高級の材料が使われいるのだろう。


以前は付近に3軒ほどの旅館があったというが今はこの本田屋旅館だけで、最近の宿泊客は山林の調査関係、時々現場作業員などのほか、意外にも今日の私のような個人客が多いのだという。一人、5名ほどのグループなど今後も毎週末のように予約を受けているとのこと。都市部からも遠く、かなり不便な場所にあるこの旅館に泊りたい客が少なからずいるというのは驚きだが、しかしこの程度の客で宿が維持できるのかと心配ではある。女将と妹さんで切盛りされているとのことで、何とかなっているのだろう。


このように今では利用客も少ない零細な旅館となっているが、以前は相当繁盛していたことを女将さんから聞いた。現在は延岡市の一部となり町の拠点性は淡くなったが、単独自治体時代には町役場の職員、学校の教員、消防団員、さまざまな会合がここで行われた。また、今は閑散とした日豊本線の各駅にも国鉄職員が配置され、北川駅にも7・8人駅員が居たという。頻繁に宴会が行われ、そのまま宿泊されることも多かったとのこと。


部屋で大相撲を見て風呂に入って18時30分に食事場所に向うと、旅館建物の外に増設された食堂のような所だった。昼も営業されているのかと聞くと予約制でやられているとのこと。表の看板に夏は鮎、冬は猪とあったが、北川の上流側で獲れたという鮎の塩焼きが3匹も(朝も味噌を載せた焼物で2匹出てきた)、分厚い刺身その他数点が並び、何より大きな猪鍋に驚いた。野菜や豆腐などで煮込んだすき焼き風の鍋だが、ひと目見てとても食べきれそうにないと思い、申し訳なく思い先に女将さんに言うと、色々具材を入れているとどうしても多くなるとのことであった。残ったものを朝も出してもらったが、それでも食べきれなかった。しかし、猪の肉は意外にも脂身も少なく、臭みも全くなく美味だった。むろんこれも付近の山で捕獲されたものである。

芋焼酎なども頂きながら食事中、上に書いたような旅館のこと町のこと、その他にも色々お話したのに多くは忘れてしまったが、総括するととにかく昔は大層なにぎわいだったということだ。旅館前の通りも商店が建ち並んでいたらしい。夕方ざっと付近を歩き、また翌朝も散歩したが、出会った地元の人は夕食前に犬を散歩中の御婦人のみだった。かつては全く異なる町の風景であったのだろう。


なお旅館の部屋は表の二部屋のほか、山側に小さい部屋、女将さんが住まわれている続き棟に数部屋あり、山側の部屋は仕事利用の常連客が月曜から木曜まで滞在されるという。あの部屋空いている?と定期的に問い合わせがあって、その後しばらく滞在されるのがいつものパターンという。週末は帰られるとのことで、一般客とうまい具合入れ違いになっているとのこと。平日はそのお客の定宿としての役割を持っているようであった。

(2023.09.23宿泊)



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定食とある 夏は鮎 冬は猪がメイン



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玄関正面



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玄関奥の応接間



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案内された部屋の様子 8畳間の二間続き


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隣の部屋 廊下を挟んで左右対称の間取りだった



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階段は昔ながらの急なものだが最近になり手が加えられている様子



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食堂部分(こちらで夕食と朝食を頂いた)




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夕食 猪鍋は奥に写っているため小さく見えるが相当な量があった



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朝食



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by mago_emon3000 | 2023-10-08 11:19 | 九州の郷愁宿 | Comments(0)