有福温泉街の中心に位置する共同湯・御前湯

御前湯の建物
石見地方を代表する温泉地の一つ、江津市有福温泉は小さいながら風情豊かな温泉街が展開し、その中には三つの共同湯がある。そのうち二箇所はどちらかというと地元客中心の小さな浴場であるが、温泉街入口正面からもその姿が目立つ「御前湯」は営業時間も長く朝も7時から営業している。昭和初期に建てられ、洋風の構えを持つ歴史の古い浴場である。
旅館に泊った私は宿の方からもらった割引券で、営業開始早々に朝風呂に向った。地元客と思われる数人の客とともに朝一番の新鮮な湯を味わうことが出来た。夜の営業時間終了後湯を全て流して清掃、朝に再度給湯するということで、営業開始直後が最も新鮮な状態なのである。
浴槽中央にある給湯口から静かに湯が追加されており、その特徴はアルカリ性が高く肌触りが良いことである。また濃厚な成分のない単純温泉なので癖はなく、美肌の湯として称賛されるのもこのためだろう。
実は御前湯は何度か利用したことがあるのだが、前回は今日湯が少ないとかで浴槽の七分目程度しかなかった。自然相手であるのでこういうこともあるようだ。今回はなみなみと浴槽の縁まで溜り溢れている。
浴室から見る特徴の丸窓も風情がある。それをぼんやりと望みながら朝の穏やかなひとときであった。
浴室以外にも、玄関回りそして二階にある休憩室も趣がある。二階には温泉街の歴史が写真で紹介されているのでぜひ見たいところだ。それによると、かつてはバスの営業所があるなど大層賑やかだった様子で、また人々の生活の様子の記録は貴重なものだ。
建物を出て周囲を歩いてみると、どこからも御前湯の姿を望むことができ、改めて温泉街の中心であることを感じる。
(2023.04.30訪問)
※一部は2018年撮影の画像

玄関回り


浴室(客がいない状態を狙って手早く撮影したためアングル悪し)

二階休憩室に向う階段


休憩室 昔の写真が展示されている



様々な位置から見える御前湯の建物
by mago_emon3000 | 2023-05-14 10:55 | 山陰の浴場 | Comments(0)