昭和感の溢れるドライブインー長沢ガーデン
ドライブインというとかつては多くの幹線道路沿いに存在したものだが、最近では存在感の薄いものとなっている。高速道路網(SA・PA)の拡充、一般道では道の駅の充実などがその理由だろう。
ドライブインと検索してみると色々出て来るので今でも少なからず存在しているのは確かとはいえ、特に宿泊施設のあるものは今では珍しいものになっているといえるだろう。
山口市と防府市の境界付近の国道2号に沿った「長沢ガーデン」は、宿泊施設と温泉を備えた貴重なドライブインだ。以前より出張時などに利用したことがあるがいつか泊ってみたいと思っていたところ、丁度良い機会を得た。長沢池に面して立地しており、これが施設名の由来となっている。立地は素晴しい。池というよりはちょっとした湖という風情である。
宿泊者は何度か利用した食堂とは違い、奥の「旅館入口」より入館するようになっていた。広々とした玄関回り、壁には書なども掛けられ、一般の旅館にも劣らぬ印象であった。創業がいつなのかはっきりわからないが、昭和を感じさせる設えや佇まいである。
案内された部屋は手前に三畳、奥に四畳半の間が襖で仕切られ、さらに立派な広縁まであるではないか。そこからは長沢池を眺めることができ、3,000円台の宿泊費では十分すぎると思えた。
温泉大浴場、客は日帰り利用の地元年配客が主なようだ。浴場からはこれも一面に長沢池が眺められる。食事は食堂があるので全く不自由ない。客室棟からは専用の通路があり、メニューも多種多様で食品サンプルがガラス窓の中に並べられ、その中から選ぶようになっている。メニューが多いだけあって相当な見栄えのするもので、これもいかにも昭和のドライブインといった風情である。
このようにドライブインとしてのお得意様のドライバーをはじめ、ビジネスさらに観光利用としても十分といえるだろう。ちなみに私の泊るったのは本館の部屋だが、ほかに別館もあり、そちらは若干宿泊料金が高めのようだ。
館内のあらゆるつくりや風景は昭和を想起させるものばかりで、また案内板の字体などからも大変強いレトロ感を覚える。なかなか今では味わうことのできない感触である。朝は宿泊者のみが温泉を利用できるため、朝日に照らされる長沢池をみながら「独泉」することができた。
(2022.05.23宿泊)


長沢ガーデンの外観
旅館部の玄関
泊った部屋の様子 長沢池が望める
食堂(食事客側の入口) 大量の食品サンプルが
食堂の様子(公式サイトより)
客室と食堂をつなぐ通路 案内板など何ともレトロ感の溢れるものだった

by mago_emon3000 | 2022-06-18 16:07 | 山陽の郷愁宿 | Comments(0)