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尾道水道に面する明治創業の老舗-竹村家


尾道の旧市街地には幾つか老舗旅館が現役で営業している。私個人的にはなかなか泊ることのできないクラスの旅館だが、あるきっかけでそのうちの一つ「竹村家」に宿泊することになった。建物は登録有形文化財に指定されている。

観光客の往来も多い界隈からはやや外れ、向島を望む海岸の風光のよい一角に「竹村家」は格式ある佇まいを残している。戦後に建てられた別館と区別するため「竹村家本館」と呼ばれることもある。創業は明治35年、当初は洋食屋として開業した。大正7年店舗を全焼する火事に遭い、現在の建物はその後大正9年に再建されたものである。その頃から旅館業をはじめ、昭和に入ると和食もメニューに加えたとのこと。

通されたのは一階の二間続きの座敷であった。部屋から見える風景はほぼ遮るものなく尾道水道のみで、船が行き交う様子がそのまま見える。

夕暮れから夜の色が濃くなったころ始まった夕食は本格的会席料理で、一品ずつ説明付きで供される品々は大変手の込んだものであった。旬の松茸の土瓶蒸し、新鮮な魚介類の刺身、もと洋食屋だったことを伝えるビーフシチューも良質な肉が使用されていた。

このような旅館に泊ると私など恐縮してしまう方だが、割り切って存分に食事を楽しんだ。



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竹村家の外観 



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玄関先



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泊った部屋の風景



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部屋から見る尾道水道



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客室は1階部分のみに5部屋程度で、2階は大広間のみなのだという。こっそりと覗くと、舞台には金屛風もしつらえられた大変豪華な部屋であった。折り上げ天井、壁には絵画や書が掲げられている。戸が閉められていたので見えなかったが、海側はもちろん一面に尾道水道が見渡せるはずである。

昭和28年の映画「東京物語」で尾道がロケ地となった際、小津安二郎監督や笠智衆、原節子といった出演俳優陣がここを宿舎としたという。そのときの写真やサイン等も一室に展示されていて、また同室には和食堂開始を知らせる昭和初期のチラシ、レジスターなど往時使われていたものなどが展示させており、旅館の歴史を知ることができた。

泊っての印象は、格式ある建物や内部の造りの様子に見応えを感じたことはもちろんのこと、女将をはじめとした宿の方の対応が、気さくな感じながらもやはり老舗旅館らしい格式と細やかな気遣いに溢れたものに思えた。

2020.10.24宿泊)



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館内点描 玄関を入ってすぐの部屋は応接室だったそうだ



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二階の大広間



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夕食の献立の一部 もと洋食屋らしくビーフシチューも



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昭和初期のチラシや映画「東京物語」ロケ時の写真等も展示されていた



by mago_emon3000 | 2020-11-15 14:53 | 山陽の郷愁宿 | Comments(0)