一等地にありながら廉価で歴史深い金沢の旅館―すみよしや旅館
「すみよしや旅館」は金沢市街にある創業360年と市内で最も古い歴史を持つ旅館で、同好者の集う会合の機会に泊ることができた。旅館は市内の一等地にあり、多くの観光地は徒歩で向うことができる。しかし宿泊料金は廉価で素泊りならビジネスホテル並、2食付でもイメージよりはかなり安価に泊ることができる。
通りからは旅館というより商家といった趣のある外観であり、また隣には一回り大柄な歴史的な商家の建物があり、やや慎ましやかな感を受ける。しかしお互いの屋根の上には望楼のような構造が見られる。金沢の旧家によくみられるもので、建物の中から確認すると明り取りにもなっているようだ。冬の日照が少ないこの地方の工夫なのだろうか、または富の象徴として各家が競うように造ったのだろうか。
それはともかく、内部は現代の旅行者にも快適なように改装はされているものの、江戸末期の建築という。当旅館は江戸時代、「手判」と呼ばれる通行証の交付を藩から代行していたといい、館内にその現物が保存されているなど歴史を大切に守られている。
泊った部屋は「赤壁の間」といい、女将によると商家の格の高い部屋は赤い壁がよく用いられたという。また柱は漆が塗られているとのこと。
建物とともに印象深かったのは女将さんの細やかな機転の利く接客姿勢であった。旅館の場合、宿泊イメージを左右するものとして宿の方々の対応がより大きくなる。歴史ある旅館が手軽な料金で泊まれるということで、お勧めの旅館といえる。
(2016.06.13宿泊)



宿泊した赤壁の間(旅館サイトより拝借)

近江町市場は旅館の裏手といったところにある
by mago_emon3000 | 2020-05-06 16:16 | 東海・北陸の郷愁宿 | Comments(0)