薪で冷泉を沸かす隠れ家的な宿―矢板・寺山鉱泉
市街地から西に外れ田園の中の一本道を延々と進むと、山に突き当たるようなところに宿はあった。携帯電波も満足に届かないようなところだったが、山峡の奥地というよりは明るい谷間といった立地である。
建物は立派な二階建で、それほど古いものではないようだが温泉自体は寺山観音寺の霊湯として160年の歴史があるという。
2つの浴室は男湯・女湯というわけではなく、客が任意に貸し切りとして利用できるようになっている。お陰で夕食前そして朝と2回貸切り湯を満喫できた。外では鳥のさえずりや渓流の音が聞こえてくる。さらに趣深いのが薪で源泉を沸かしているため、浴室に微かに漂うスモーク臭だ。湯は2つの浴室共通で、浴槽に入ると一部がつながっているのがわかる。鉄分を含むため沸かすと茶褐色となることも効能が一層期待できそうに感じた。
食事も地物にこだわり、また自家栽培の有機野菜等を使い、健康的な献立であった。このあたりは大型旅館には真似ができないだろう。ただし、量的には私もやや物足りなさを覚えたので、若い人は少ないと感じることだろう。
宿滞在中はネット環境からも離れ、ゆったりとした一晩を過ごすことができた。
(2019.04.28宿泊)
寺山鉱泉の外観
狭い隠れ家のような浴室
地のものにこだわった夕食
朝食
浴室の外には大量の薪が積まれていた
旅館の周囲は春の芽吹きが盛んだった
(2019.04.28宿泊)
by mago_emon3000 | 2020-03-21 15:56 | 関東・信越の郷愁宿 | Comments(0)