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カモシカ女将の名物旅館―薬研温泉・薬研荘

下北半島の津軽海峡側から少し山間部に入った位置にある薬研温泉。渓流沿いに数棟の旅館があるだけの静かなところで、恐山観光の拠点にと泊る客が多い。
半島の集落探訪に若干観光要素を加えようとすると2泊は必要ということで、1泊はホテルにしたがもう一泊は温泉旅館にと思い、薬研荘という宿を予約しておいた。冬季休業で4月下旬からの再開とのことで、まだ再開間もない時期での宿泊である。半島山間部はさすがに春の訪れが遅いのだろう。

さてその薬研荘に着いてみると外見はとても地味で、民宿としか思えないたたずまいだ。しかし近くに大型のビル旅館が廃墟をさらしている中で、当日は満室だった。

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この旅館が人気なのは、食事が素晴らしいからだということを耳にしていた。
一浴後出てきた食事の画像だが、写っている夕食の品々の中で、山菜やキノコ類は全て女将自らが周囲の山々で採取してきたものだという。
例を挙げるとカタクリと海苔の和え物、山菜・キノコ10品の小鍋。付け加えると刺身もとても新鮮で、マグロなど醤油に浸すと脂が染み出すほど乗っていた。
一般的な旅館の料理の献立は、地物と云っても一部に盛り込むのが精一杯で、会席料理風の一通り感を出すべく努力した結果、結局はある程度同じような献立になってしまいがちだ。そんな中で、新鮮な地物にこだわり貫くこの宿の姿勢は恐れ入る。
冬季休業なのも、もしかすると気候のことだけでなく特に新鮮な山菜類が入手できないからではないかとも思った。

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後で知ったが全国紙も取材に訪ねたことがあるようで、「薬研温泉のカモシカ女将」とも称されている、ちょっとした名物女将なのだそうだ。
これを大型旅館でやったらどうか。山菜類の採取には人を雇い相当な人件費を計上し、宿泊費は高騰するだろう。ちなみにこの旅館の宿泊費は1万円未満。

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最近はネットの口コミもあって、事前情報を随分詳しく得ることも可能になったが、やはり実際泊ってみないとわからない事も多い。
その辺りが、当たり外れということになるわけだが、この旅館は相当な当たりだった。
旅館はややもすると宣伝や建物の外観・設備に良い印象を得ようと注力し、実際が伴っていないことが少なくない。しかしこの旅館は、逆に良い方に騙されるわけである。
むろん、温泉も肌触りの良い湯で、癖がないだけに何度も満喫した。
(2018.4.30宿泊)

by mago_emon3000 | 2020-03-01 20:05 | 北海道・東北の郷愁宿 | Comments(0)