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谷あいの小さな温泉街にある湯治的宿―川内高城温泉・梅屋旅館

川内市内から北に10kmほどにある川内高城温泉は、温泉地の多さでは屈指の鹿児島県にあって、とりわけ風情ある温泉街を残していると紹介されているのを見た。全く知らなかった温泉場である。
中でも佇まいに風情を感じる「梅屋旅館」を予約しておいた。温泉街のほぼ中心に位置し、正面壁に赤く記された屋号がまた良い味を醸している。建物は築120年とのこと。
訪ねた当初は日帰り客で温泉街は意外と賑わっており、鄙びたというのとはやや印象が異なっていたものの、日が落ちるにつれ客の出入りも少なくなり、家並の軒下には灯がともされ、そこから先の風情は宿泊者の特権といえるだろう。それを味わうには最適の宿といえる。

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川内高城温泉の町並 右が梅屋旅館


小ぶりな宿だが奥行は意外と深く、玄関から細長い廊下を辿ると左側に浴室がある。2階に上がると5・6部屋は客室があった。案内された部屋は6畳ほどでコタツが置かれ、物干し用のロープもあるなど長期宿泊・湯治向きの仕様だ。一角には炊事場もあるが、女将さんによると今では湯治客は少なく、1泊のみの個人客がほとんどとのこと。しかし大きな冷蔵庫が何台もあり、少し歩いたところには商店もあって食料も仕入れることができ、逗留するには全く不自由しない。当日は他に若い男性の客があるだけだった。
館内を少し歩くと、そのほかにも現在は使われていない様子だが客室があって50人くらいは泊まれると思われた。そして驚いたのが一階奥にあった大広間だ。緞帳が掛かった立派な舞台もあって、宴会や催しが行われていたのだろう。そういえば私の泊った部屋は二間続きを仕切ったものらしく、隣に回ると立派な欄間が残っているのが見えた。かつては団体客や上客の泊りもあったのかもしれない。

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玄関の様子

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深い奥行きを感じさせる長い廊下 左に浴室 階段を上ると客室がある

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泊った部屋

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隣の部屋には立派な欄間があった

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大広間


浴室は4~5人定員といったところで、この手の旅館ではこんなシンプルな造りが好ましい。滑らかな肌触りと軽い硫黄の香のする良い湯であった。
日帰り客は入れ替わり訪れ、女将さんに軽く声をかけるだけで入りそのまま後にする姿もあった。宿泊客より常連客を中心とした日帰り客が主体で、この宿を底支えしているように感じた。
夕方と早朝の2回入ったが、朝は6時からということで15分ほど過ぎて向かったところ、早くも3人ほどの先客が脱衣場で湯上りの様子だった。泊り客ではないようで、一番風呂に来るのを習慣にしている地元の人のようだった。
(2020.01.03宿泊)

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浴室と温泉の成分表 昭和35年の文字が見える



by mago_emon3000 | 2020-02-02 16:03 | 九州の郷愁宿 | Comments(0)