三瓶山の周辺には個性的な温泉場が意外と多くある。興味深く思っているのだがそれらを主目的に出かけようと思うと案外腰が重いものだ。しかし時折この近辺での仕事が入ることがあり、その時間の合間があれば、入ってみようではないかと探求心が湧く。今回は南麓にある志学地区にある共同浴場「鶴の湯」を訪ねてみた。
小さな商店も建ち並ぶ志学の町並の西端付近にあるこの浴場、券売機で入浴券を買い、受付が不在の場合は箱に入れて自由に入れるようになっている。私が入った時も無人で、誠におおらかなものである。浴室は5・6人も入ると満員状態になるくらいの広さだろうか、いかにも共同浴場といった規模で、浴槽からは茶色く濁った湯があふれていた。源泉そのものが濁っているのではなく、鉄分が多く含まれるため空気に触れることによって赤褐色になる。口に含むと少し鉄錆味がする。加温しているとのことで、洗い場の傍らには源泉がそのままざぶざぶと桶に注入されており、こちらはぬる湯であった。なるほどもとは透明な湯だ。
浴槽内は腰掛ができるような段があって、それに委ねていると大変心地よく、思いがけず少々長湯をした。
私が入ったとき一人の地元の方らしい年配客、出た後には遠方からと思われる客を含め三々五々と。浴場内の写真は、たまたま客のない時を狙ってスマホで撮影したものであるため写りが悪い。
集落の東側にはこの鶴の湯と対をなすような名の共同浴場・亀の湯もある。こちらの方がレトロ感が満載というが、源泉が35度で夕方以降に加温されるとのことなので、時期と時間帯のこともあって鶴の湯を選んだが、今度は亀の湯の方に入ってみたいものである。
(2019.12.03訪問)

鶴の湯の外観と玄関 受付不在の時は券売機で求めた入浴券を箱に入れて入浴する

空気に触れると酸化する鉄錆色の湯 加温しない源泉(2枚目右上)は透明だ
昔ながらの雰囲気の休憩室もある 今は使えない型のテレビは飾りか?